もはや日本のものとは思えない酷暑の毎日。皆さま如何お過ごしでしょうか。
夏は大好き、そして四半世紀にわたりインドの暑さに親しむ機会をいただいてきたので、
暑さに対してメンタルな面では平気な私も、さすがに身体はしんどいヨぉ、と訴えています。
今年は長い夏になりそう。さてどのようにこの夏を乗り切るか、が近頃のヨーガクラスの
テーマでもあります。
それにしても熱帯・亜熱帯地方原産の植物は強いですね。朝と夕方の水やりは汗びっしょりに
なりながらも、ほっと一息つくひとときでもありますが、トゥルシーやツボクサはもちろんのこと、
この春から育てている鉢植えのモンキーバナナに至っては次から次へと新しい葉を出して、毎朝
その力強さに励まされています。
一方、私たちと言えば、続くこの暑さの中で過ごすことは大変なこと。もう30年くらいも前の
お師匠さんの「夏というのはね、一日生きるだけで重労働なのですよ。」という言葉を思い出して
います。30年前の暑さはとは比べ物にならない今の暑さ、そしてより一層テンポも速く複雑化
した現代の生活の中で、私たちはどれほどのエネルギーを消耗し続けているのでしょうね。
でも大丈夫。私たちにはちゃんとヨーガやアーユルヴェーダの智恵がありますから、消耗した
エネルギーを補充することができます。
そこで今とくに大切にしたいのがアーユルヴェーダでいう“औजास् オージャス = 活力素”を
高めること。私たちは食物をいただき、それが消化吸収され身体の血となり肉となるのですが、
このときに生産される元気の素がオージャスです。サンスクリット語の辞書にはこのほか、生殖力、
光輝、洗練されたスタイル、等の意味もありますので、これらから何となくイメージがつかめるの
ではないでしょうか。
アーユルヴェーダではオージャスを高めることが、健康と長寿にとって大切であるとされていて、
オージャスを高めるには次の4つがありますよと、あるアーユルヴェーダの先生はおっしゃって
います。それらは、
- 至福・純粋意識を体験すること:これは言葉が難しいですよね。でも、瞑想、またシャバーサ ナやヨーガニドラーなどを日々の生活で実践すると良いと思います。
- その土地で採れる食物を中心に、消化力や時間等に気を付けて、感謝し幸せな気持ちで食事ができますように。
- ラサーヤナ:ラサーヤナには強壮延命薬を摂取する肉体のラサーヤナとアーチャーラ・ラサーヤナといって行動のラサーヤナがありますが、私たちは主に行動のラサーヤナを実践することにより、ライフスタイルを精神的な面から正していくようにしましょう。またこれはアシュタンガヨーガのヤマ・ニヤマにも通じる部分があります。心を乱すような思考や行いを内にも外にも行わないようこころがける。この行動のラサーヤナを実践する人は、ラサーヤナ薬は必要ないとまで言われているそうですから、とても大切なことですね。
- 自己コントロールをし、献身と奉仕の生き方をすること。
これらは全て生活ヨーガの中に入っていることですが、具体的には主に二つのことを柱として、
今月のクラスを行っていこうと思います。
まずは足が弱らないように。足をよく使うことは体力をつけ、消化力も高めます。そしてもう
ひとつじっくりと行いたいのがヨーガニドラーです。ニドラーというのは睡眠の意味で、
身体の細部をリラックスさせ睡眠のような状態を保ちながら、意識は気づける状態で行う
システマティックであり完全な身体、精神、感情の休息のためのリラクゼーションです。
瞑想法のひとつでもあり、20分のヨーガニドラーは4時間の睡眠に相当すると言われるほどに
心身を回復させるといわれています。(因みにネット等で“ヨガニードラ”という言葉をたまに
見かけますが、“ニードラ”という言葉はありません。サンスクリット語の表記は “ योग निद्रा ”
ですから、カタカナで表記するとすれば、“ヨーガニドラー”です) 一時間半のクラスが
ほとんどなのですが、その中で、今月はフルバージョンのヨーガニドラーのための時間も
いただこうと思っています。
暑さ寒さの厳しい時期にはとくにゆるりゆるりとが良いのです。新しいこと、特別なことよりも
これまで行ってきたことを丁寧にちょうどよいだけ行って、心がすっきり穏やかに過ごせる
ようにしましょう。それはそのままオージャスを高め、健康に生きることに繋がっていくのですから。
まだまだ続くこの暑さ。調子のよい日もあれば不調の日もあるでしょう。変化して止まない
宇宙の法則の中で、良いことも悪いこともあってのバランス。日々出会う様々な現象に振り回されず、
いつもヨーガやアーユルヴェーダの智恵が私たちの内に溶け込んで、満ち足りた毎日が過ごせます
ようにと願います。
Pranam & Om