インドでカメラを向けたくなるもの

牛さんがくつろいでいるので別の石段から下りてバザールへ行った。帰り道、まだ同じ場所。動かない牛とじっと何かを待つ人と。

 

インドに通い始めて二十数年。

最初の頃は、出会うものすべてが、と言っていいくらい刺激的で、印象的で、

あれもこれもと撮影していたように思う。そしてインドが大好きになった。

私の場合、ほとんどがデリーイン・デリーアウトの旅程。

インディラガンジー空港を飛び立つ飛行機の中からデリーの町の灯りを眺めながら、

インドを離れるのが寂しくて、悲しくて仕方なかった。

今はどうかな・・

インドが大好きなのは変わりなく、出国するときの寂しさはあるけれど、何かがちがう。

 

カメラを向けたくなる対象はすいぶん少なくなった・・

目にする光景はインドの日常そのままで、特別なものではなくなったから?

カメラに収めたとて、それはすぐに過去のものになってしまうから?

 

そんな中で、いまだにカメラを向けたくなるものの一つが、牛さんin india。

デリーのインド人弟S氏は、私が牛を撮ろうとすると、「まだ牛が珍しいの?」と笑うけれど、

 

なんでかなぁ・・・

のそっとその辺に居ながら、「ここに居ますよ。」とも主張せず、インドのあらゆる風景に

溶け込んでいるような、そんな静かな存在感に惹かれるのかもしれない。

 

バサールにて。歩く時には「聖なる落し物」にご注意を。

 

Om Shanthi Shanthi Shanthi…